ル・パン

ル・パン
ルパンのラベルは潔い。シャトーの文字すらない。これはあまりにも畑も建物も小さく質素なのでシャトーと名乗っていないからです。ルパンがあるのはフランスのボルドー地方。 ドルドーニュ川右岸、サンテミリオン地区の北西部に位置します。栽培面積はサンテミリオン地区が約5,300haに対し、ルパンのあるポムロール地区は約790ha。約7分の1しかありません。そしてメドック地区やサンテミリオン地区のように格付けも一切ありません。しかし、日本のワイン専門家岩野貞夫が「無冠の帝王」地区と名付けたように世界で最も高価で憧れのワインが造られています。その違いは土壌。ドルドーニュ川の支流イル川が運んだ石英や燧石や砂利など小石が表層にある粘土質。それも酸化鉄を含んだ鉄砂岩などもある独特の複雑な土壌です。サンテミリオン地区の隣にありながら味わいはより濃厚でリッチ、トリュフの香りがすると言われています。 1979年にベルギー出身のティアンポン家が隣接するルパンを購入しました。 1985年に当主レオンが亡くなって以後、マロラクティック発酵を新樽で行っています。 ワインを常に見守っていないと出来ない労働力を必要とする方法です。年間生産量が7000本くらいだからこそ出来るとも言えます。ボルドー地方で最初に導入したシャトーの1つでもあります。これがルパンの特徴でもあるスモーキーでエキゾチックな香りに変身します。レオンの甥であるジャックが加わるようになってからは評価が急上昇。それに連れて価格も同じく急上昇しましたが。現在では当初、目指していたペトリュスと肩を並べ、ポムロール地区を代表する伝説的なワインと成りました。ルパンは「松の木」の意味。小さな農家風のシャトーの横に一本だけポツンと松の木が立っています。それがシャトー名の由来です。