シャトー・ランシュ・バージュ|House of Otium

シャトー・ランシュ・バージュ

シャトー・ランシュ・バージュ

複雑味溢れるアロマと素晴らしい凝縮感、そして長期熟成のポテンシャルを備えた高いクオリティで知られるシャトー・ランシュ・バージュ。シャトーの歴史は古く16世紀にまで遡ります。ワイン造りの歴史が始まったのは18世紀で、アイルランドからメドックに移住してきたトーマス・リンチにより始められました。 ランシュ・バージュの「ランシュ」は「トーマス・リンチ」の名前から、「バージュ」はバージュの古い集落があることから、この名になりました。 1939年から現在のオーナーであるカーズ・ファミリーが指揮を執り、4代に渡ってシャトーの管理し、たゆまぬ努力により「ランシュ・バージュ」の名を世に広めていきました。 カーズ家の代々の功績により、ランシュ・バージュの品質は着実に向上し、特に3代目であったジャン・ミッシェル・カーズ氏は、大型ステンレスタンクをいち早く導入するなど様々な改革を起こし、現在の高い評価を勝ち得ました。 また、ボルドーの会議やシンポジウム、国際的な試飲会の普及などのプロモーションに奔走するなど、ランシュ・バージュのみに留まらず、ボルドーワイン全体に貢献し、その功績が認められ2001年にシラク大統領(当時)が最高の勲章、レジオン・ドヌールを叙勲しています。 現在、シャトーのオーナーを務めるのは、ジャン・ミッシェル氏の息子である4代目ジャン・シャルル・カーズ氏。オーナーに就任後は醸造設備の刷新をはじめ、畑の小区画化や衛星による画像解析での厳密な熟度の管理など、様々なイノベーションを積極的に実施しています。 ランシュ・バージュの安定した高品質を支える基盤のひとつとして挙げられるのが、畑の持つポテンシャルの高さです。シャトーの北側を格付け第一級ムートンとラフィットに挟まれ、南側には格付け第二級ピション・ラランドとピション・バロンが隣接するという抜群のロケーションを誇ります。 ガロンヌ川に浸食されたピレネー山脈からの砂利を中心に構成された土壌は水捌けが良く、さらに砂利が日中に吸収した熱を夜間に発散し、果実の成熟を促進させます。こうした好条件を備えていることから、古くから出来の良いカベルネ・ソーヴィニヨンが収穫される銘醸地として有名でした。 あわせて2006年以降は、衛星技術の活用と土壌の質の調査により、ブドウ区画の正確なマッピングと品種の植え替えを実施し、畑の区画をより細分化し厳密に管理しています。また、最新技術を駆使する一方で経験や知識による人材の確保と育成にも注力しています。テクノロジーに頼りきるのではなく、剪定を丁寧にするなど人の力も重視し、収穫は全て手摘みで行っています。 ファーストラベルであるランシュ・バージュの醸造に関してもブドウ栽培同様に革新的な取り組みが行われ、2015年よりステンレスタンクの中でのワインの様子が確認できるモニターを導入しました。世界で最も著名なワイン評論家の1人であるヒュー・ジョンソン氏は、「ランシュ・バージュは常に人気の高いシャトーで、今では花形のひとつに数えられる。強靭で芳醇。見事に濃密でブラックベリーのフレーバーを持つ。」と大絶賛しています。 このような改革と努力により、ランシュ・バージュはメドック格付け5級ながらも、現在その品質はトップシャトークラスに匹敵するとも言われています。なぜなら、所有するブドウ畑の環境や、歴代のオーナーがスランプを経験しながらも品質向上に努め続けた結果、ヴィンテージの出来に関わらず安定した高いクオリティのワインが生産され続けていることに起因しています。いつの時代もたゆまぬ努力によって素直で力強いワインを造るシャトー・ランシュ・バージュ。伝統を守りながらも近代化に合わせて新たな技術も取り入れ、気品のある安定した高いクオリティを保ち、多くのワインラバーを魅了しています。
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