ルイ・ロデレール

ルイ・ロデレール
この世で最もゴージャスなシャンパンを所望したら、おそらく「クリスタル」が用意されるでしょう。造っているのはルイ・ロデレール。シャンパーニュの中心地ランスにデュボア家によって1760年に設立されました。有名になったのはロシア皇帝のご用達になったことからです。1876年、ロマノフ王朝ロシア皇帝アレクサンドル二世がルイ・ロデレールのシャンパンを気に入り、「他のシャンパンと紛れぬようクリスタル製のボトルに詰めよ」と要請し、出来上がったのが最古のプレスティージュ・シャンパンのクリスタルです。他のシャンパンが緑色の遮光瓶を使う中、透明なボトルと金色に輝くラベルは豪華そのもの。瓶底も澱が溜まるように上げ底になっていますが、クリスタルはフラット。これは爆薬などを仕掛け暗殺されるのを防止しているとか。但し、味わいは皇帝の好みに合わせて極甘口でした。 1908年には皇帝から感謝状が贈られています。その後1917年の十月革命で皇帝という大得意先を失い、ルイ・ロデレールは大ピンチに。それを救ったのが1932年に当主である夫の死後、会社を引き継いだカミーユ・オリリ・ロデレール未亡人でした。ここにもヴーヴ・クリコやリリー・ボランジェなどの女傑がいました。1945年、クリスタルを市販用に製造。良い畑を買い足し、競走馬の勝者に自社のシャンパンを振舞って喧伝をし、1932年から1975年の42年間会社を経営しました。どんなに売れても販売数を守っていく」というポリシーや「ブランド品を造っているのではなく、ワインの造り手である」という考え方の下、徹底した家族経営で品質を守ります。大手メーカーであっても品質に隙がありません。 高品質シャンパン・メーカーとしてクリュッグ、ボランジェと並び称されます。それはランス、マルヌ、コート・デ・ブランとバランスよく自社畑を所有。(ロデレール未亡人のお陰でもある) 味わいの違う栽培地の分散はバランスが取れたシャンパン造りには不可欠です。 自社畑比率が高く必要原料の80%を賄えるのも強みの1つ。 品格の漂う香り、優しい口当たり、まろやかに広がる味わいと綺麗な酸。香ばしい余韻。 全てのラインに共通する素晴らしい味わいです。