ベイシュヴェル
シャトー・ベイシュヴェル
16世紀にこの城に住んでいたフランス海軍提督エペルノン公爵に敬意を払い、ジロンド河を通る船はこの城の前では「ベッセ ヴォワール(帆を下げよ)」と叫び、帆を下げて通っていました。この言葉が語源となり、ベイシュヴェルと名付けられました。また、船首にした帆船のエンブレムに配されたグリフォン(ギリシャ神話に出てくる鷲の上半身とライオンの下半身をもつ伝説上の生き物)は、ワインの神ディオニュソスを守るとされています。 現在ベイシュヴェルは、「メドックの小さなヴェルサイユ」と呼ばれるほど美しいシャトーとして知られています。そのクラシックでエレガントな建物は、美しさゆえに、多くの有力な政治家や文化人を魅了してきたことで有名です。 ベイシュヴェルでは17世紀中頃からワイン造りが行われていますが、1855年の格付け当初は、フランス革命などの混乱から品質が低迷、4級に甘んじてしまいました。しかし現在、その品質はしばしばサン・ジュリアンのトップと肩を並べられるほどに回復し、「格付け第2級に匹敵する」とも言われています。ベイシュヴェルは2002年にはHACCP(食品製造における安全管理の手法)を導入、また、2005年より自然環境に配慮した栽培と醸造を目指している団体、「Terra Vitis」の適合証明書と「Agriculture Raisonnee」としての資格を取得し、有機的な栽培方法にこだわり、環境にも身体にも優しいワインを製造しています。 シャトー ベイシュヴェルは所有面積250ha中、90haでブドウ栽培を行っています。メドックの中心地に位置し、深い礫層に覆われた土壌はベイシュヴェルから北に向かってラトゥールの畑まで続いており、カベルネ種の栽培に向いた土地です。平均樹齢は30年、カベルネ ソーヴィニヨン、メルロ、カベルネ フラン、プティ ヴェルドを栽培しています。 造られるワインは、優雅さとフィネスを保ち、引き締まったボディが特徴です。カベルネ・ソーヴィニヨンの比率が高く、長期熟成型のどっしりとしたワインが多いメドックにおいて、ベイシュヴェルではメルロの比率を高く設定し、早くから飲める親しみやすいスタイルを目指しています。ベイシュヴェルの、いつ飲んでも愉しめるエレガントなスタイルは、レストラン業界からも厚い信頼が寄せられています。