ジャン・マリー・フーリエ|House of Otium

ジャン・マリー・フーリエ

ジャン・マリー・フーリエ

ジュヴレ・シャンベルタンに本拠を構えるドメーヌ・フーリエは、世界中のブ ルゴーニュ・ラバーを熱狂させる超人気ドメーヌ。世界で最も尊敬される作り手の一人に数えられるが、実は自国フランスではあまり名が通っていない。この逆転現象が起きている理由は、畑の規模が約10haと大きくなく、ブドウのほとんどが高樹齢のため低収量であること、そしてリリースされるワインのほとんどが瞬く間に輸出市場に流れるためである。ところがその輸出市場であっても、毎年リリース後即完売で「買いたくても買えない」という顧客が溢れ、幸運にも手にすることができるのは限られた一部の人のみという状態になっている。 現当主であるジャン・マリーもこの状況を心苦しく思っており、「供給したくとも、生産量を増やすことができない」というジレンマを抱えていた。こうした期待に応えるために彼は2011年に小さなネゴシアンをスタートし、3つのキュヴェをリリース。続く2013、2014年にラインナップを拡張し、現在ではシャンベルタン、エシェゾー、アムルーズといった珠玉のワインをリリースしている。彼がネゴシアンを立ち上げた際のコンセプトは4つあり、1)ドメーヌで持っていない畑をネゴシアンで取り扱う。2)ブドウの買い先は自身でドメーヌとしてワインを作っている人に限る。3)生産量はドメーヌの20-30%まで。4)AOCは近隣エリアであるジュヴレ・シャンベルタンからヴォ?ヌ・ロマネの間に限定する、など。ジャン・マリー自身はネゴシアン部門をあくまでもドメーヌの延長としており、「高い需要にもかかわらず土地を買い足せないフラストレーションが、ドメーヌ の拡張という形で小さなネゴシアン・ビジネスを発足させた」と語る。こうしたワインはドメーヌと全く同じ哲学で作られるため、出来上がるスタイルも非常に類似している。フーリエのワインというとしばしばブルゴーニュの神様アンリ・ジャイエの弟子といううたい文句が出てくるが、ジャン・マリーはただ単純にジャイエのやり方を真似ていたというわけではなく、良いエッセンスを吸収していたのである。ほぼ100%除梗をすることによってピュアで透明感あふれる果実味を前面に出すという点では共通しているが、新樽比率を見てみるとジャイエが100%であった のに対し、フーリエでは平均20-30%程度に抑えられている。熟成は16-20ヵ月と長めにとることでおり引きの必要がなくなり、フィルター・清澄も不要となる。もちろんSO2の使用量も最小限に抑えている。こうした極力手を加えない自然なワインメイキングがピュアで透明感あふれるピノノワールを生み出す。活気あるエネルギーが見事なテンションをつくり、シルキーなテクスチャーが溶け込むフーリエの華麗なワインは一度飲んだら 忘れられない程の印象を持つ。ブルゴーニュの著名評論家たちにもファンが多く、ティム・アトキンは何年も連続でフーリエをドメーヌ・ネゴシアンともに「Top25 生産者」に挙げ、アラン・メドーは「ピュアな表現力と品質に長らく感銘を受け続けている」と絶賛し、さら にWA誌のニール・マーティンからは「90年代後半に出会って以来、ずっとジャン・マリーのワインのファンであり続けている。とにかく見どころがたくさんあるが、それはドメーヌだけではなくネゴシアンもである。」と最大の賛辞を贈られている。少ない生産量から高い需要に応えるためのネゴシアンではあるものの、買いブドウも高樹齢のものが多く収量が低い。そのためほとんどのキュヴェで3-5樽という僅かな生産量となっているため、見かけたら絶対に見逃してはならないワインであることには変わりない。
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