デキャンタージュとエアレーションについて
エアレーション
空気に触れさせることでワインに呼吸をさせるのが目的です。そうすることで、多くの(上質な)ワインが香りを開花させます。一般的に、若いワインやカベルネ・ソーヴィニヨン、ネッビオーロ、アリアニコ、ジンファンデルなどのタンニンの強いワインに向いています。効果的にエアレーションを行うには、ワインをデキャンタに移し替えます。
最近では、シャンパンでさえエアレーションすることで泡が落ち着き、フレーバーやアロマが前面に出ると生産者が提案しています。とくに単一畑のシャンパン生産者(例えば、ジャック・セロス Jacques Selosse)は、テロワール重視のシャンパンの味わいを表現する目的で、エアレーションを支持しています。
ブルゴーニュワインのように繊細で熟成した赤ワインや、リオハやキャンティの熟成ワインをエアレーションすることはほとんどありません。
デキャンタージュ
デキャンタージュの主な目的は、長期保管(熟成)の結果ボトルに溜まった結晶や沈殿物(澱)をワインから取り除くことです。
デキャンタージュをすべき時期について決まったルールはありませんが、8年から10年ほど経つとワインによって澱が生じ始めます。ボトルを強い光にかざすことで澱の有無を簡単にチェックすることができます。
デキャンタージュは難しくありません。時間があれば、デキャンタージュしたいワインを1~2日間立てておき、ボトルの底に澱を沈殿させます。その後、なるべくボトルを動かさないように注意してコルクを抜きます。デキャンタを用意し、小さなライトかろうそく、または懐中電灯(スマートフォンのライトでも可)をデキャンタの口の近くに準備します。そっとワインを持ち上げ、ボトルの首元に下から光を当てながら、静かにデキャンタに注ぎ始めます。残り少なく(100ml~200mlほど)なって、ボトルの首元に入ってくる澱が見え始めたら、ゆっくりと注ぐのを止めて、完了です!
デキャンタの中に多少の澱が入ってしまっても大丈夫です。害はまったくありませんし、澱を許容する人もいます。
デキャンタージュの時間については議論のあるところですが、目安として、力強い(タンニンの強い)熟成した赤ワインなら、飲む前に1時間(またはそれ以上)デキャンタージュします。繊細な熟成赤ワインは、澱がなければデキャンタージュしません。澱が見られる場合は、ワインのストラクチャーを保つために、飲む直前にデキャンタージュするとよいでしょう。