「フォントディのフラッチャネッロ・デッラ・ピエヴェ 2016 年は、正に最高傑作であす。このワイン・レビューは、2 度 に分けて行ったワイン・テイスティングのコメントを 1 つに纏めたもので、1 度目はワイナリーで、2 度目は瓶詰を終えたワインを丸一日かけて私自身 のペースで繰り返し味わいました。2 度目に試飲したサンプルは、2016 年のマセットの後にブラインド試飲しました。メルロ・ベースのマセットと肩を並べる 美しさを湛えつつも、ピリリとした酸を持つサンジョヴェーゼ特有の個性ゆえにトスカーナの風景をより完璧に、より美しく描き出していると言えます。2016 年は、 紛れもなく上質な果実が収穫できたバランスの良いヴィンテージで、2016 年のフラッチャネッロには、この上質な果実に由来する混じり気のないエ レガンスと驚くほどに見事な深みと静謐なバランスが備わっています。ダークチェリーや青い花、耕した大地の香りを思わせる熟成香が次第に花開 いていき、タンニンは張りがあり、固い果実をかじった後のような香ばしさを持ち、くっきりと感じられる酸が奥深く高貴で余韻の長い味わいを導いてくれます。 数多ある味わいの要素の中でも、深みが最も傑出して感じられます。2013 年ヴィンテージまで、フラッチャネッロは、バリックで 24 ヶ月させていましたが、 2013 年以降は、熟成期間のうち 6 ヶ月を樽熟成の代わりに瓶内熟成させています。2016 年ヴィンテージは、初めてごく僅かではあるものの、ワインの一 部を粘土製のアンフォラを使って熟成させています。この僅かな変更により、2016 年は例年よりも一層エレガントで繊細なフィネスを持つワインに仕 上がっています。この点は、2016 年においては、特に強調されるポイントであると言えます。春の開花の時期に冷涼な気候が続いたため、2016 年は、前年比 20%の収量減となりました。」(RP)